真っ暗
「よし」
俺はネクタイを締め、一息つく。
六月の終わり頃、俺は何個か受けた内の一社から連絡が来た。どうやら「最終面接をやるから来い」とのこと。
面接場所に着くと、俺の他にもう一人相澤君(だったはず)が座っていて、「緊張しますね~」とか言ってきたから「そうですね」なんて適当に返事してた気がする。
「それでは面接を始めます、宜しくお願いします」
俺の目の前でパイプ椅子に座ってる優しそうなオッサンは元社長、現役員とかいう肩書きを持った偉いオッサンらしい。いつも通りテンパりながらワケの分からないことを言って終了。まあダメだろうなんて思ってたら、スマホに就職担当の先生から連絡が来る。
「あのなあ〜、お前靴下」
「え?」
「足元まであっちはちゃんと見てるんだからな」
やっぱりダメだった。
その日俺は普通のスニーカーソックスを履いていた。まぁ黒いしここまで見えないだろ、とか思って履いてた。あの黒くて長い靴下捜すの面倒だったから。
絶対それだけが原因なワケないと思ったけど。社会不適合者か?
あとは適当に九月に受けた会社で「御社から内定を頂けた場合、就職活動は辞めます」とか言ってた。これにて就職活動終了。
この後は友達と蔵王にスノーボードしに行ったり、何も考えず1日中ゲームしたりおもむろにとらドラ!を全話見たり(4周目)してた。今思うと、人生で一番楽しい時間だったかもしれない。
そんなある日、俺は友達に誘われてカラオケに行った。他にもネットカフェとかビリヤードとか色々できる施設だった。そこには雀卓もあって麻雀もできるようになっていた。
俺はネットマージャンしかやった事はないが、少し興味はあったし誘われたので麻雀ルームに入っていった。そこには中学時代の旧友がいて、久々に会話することができた。
「えっ!○○じゃん久しぶりー!」
「あ...ひ、久しぶり、元気?」
「全然元気だわ笑、○○麻雀できるんだ」
「いや、ゲームの奴しかやったことないけど....」
「いけるっしょ、いけるいける」
「あ、うん」
久しぶりにあった旧友と、俺は何故だか上手く会話することができなかった。就活のストレスで俺はコミュ障になっていた。
中学生の時どうやって話してたっけ?よく一緒につるんでいた友達なのに、中学を卒業してからは全く連絡を取っていなかった。素早く突き刺さるロン、速度を上げなければと思って鳴いた。しかし鳴いたのではなく、泣いていたようだ。涙と点棒が、こぼれ落ちた。